誤嚥性肺炎について
高齢者に多い病気「誤嚥性肺炎」なぜ近年の急増しているのか、ご説明したいと思います。
1.高齢者は注意が必要
1-1高齢者を中心に増加傾向
65歳以上の高齢者の死亡原因は①がん(悪性新生物)②心疾患③脳血管疾患④肺炎です。肺炎死亡者の9割以上が65歳以上の高齢者です。
1-2高齢者は羅漢率が高い
季節の変わり目などでは、体調を崩した高齢者を良く見かけます。高齢者は65歳を越えると、加齢による体力や免疫力の衰えなどにより、感染症(カゼ・インフルエンザ・肺炎・胃腸炎・など)にかかりやすくなってしまいます。
2.誤嚥性肺炎について
2-1誤嚥性肺炎とは
誤嚥性肺炎は、細菌が唾液や胃液と共に肺に流れ込んで生じる肺炎です。
高齢者の肺炎の70%以上が誤嚥に関係していると言われています。
再発を繰り返す特徴がありが、それにより耐性菌が発症し抗菌薬治療に低抗性をもつことがあるため、優れた抗菌薬治療が開発されている現在でも治療困難になる場合があります。
2-2誤嚥性肺炎の起こる理由
①口腔や咽頭内容物による誤嚥②胃逆流物による誤嚥があげられます。
老化に伴って起きる生理的な変化や脳血管障害や神経系疾患では神経伝達物質(サブスタンスP)の減少で、咳反射や嚥下反射の機能低下によりおこります。嚥下反射の低下により、知らない間に細菌が唾液と共に肺に流れ込み(不顕性誤嚥)、肺の中で細菌が増殖して肺炎を起こします。嘔吐などによる胃液が食べ物と共に食道を逆流して起こる事もあります。
2-3症状について
発熱・せき等、通常の症状を訴えないことも多く、なんとなく元気がない、倦怠感を訴えることもあります。①食事中の咳き込み②常に喉がゴロゴロ鳴っている③唾液が飲み込めない④食事時間がかかる⑤痰が汚いなどがあげられます。重症になると呼吸不全にもなりますので、早期の受診を心がけてください。
3.誤嚥性肺炎の予防について
3-1-食事内容を考える
誤嚥を予防する為には、まず食事の形態を考えてみましょう。
硬いものが食べにくくなっているようなら、煮込んだ柔らかいものに変える必要があります。また刻んだり、押しつぶして、食べやすいものにしてみてください。また水やお茶などは誤嚥しやすい為、トロミをつけてみましょう。流動食などでも誤嚥する時は、胃瘻の造設も考えなければいけなくなります。
誤嚥しにくい食べ物
①固形物ではゼリー・プリン・卵豆腐・具のない茶碗蒸しなど②液体状のものではポタージュやシチュー・とろみをつけたもの・ペースト状のもの
注意が必要な食べ物
①弾力性のある餅やこんにゃくなど②水分の少なくパサついているゆで卵やふかしイモ③水分が多い汁物やお茶、ジュース④酸味のきつい酢の物⑤粒が残りやすいナッツ類やおせんべい
よくベッドをギャッジアップしないで、そのまま食事介助をしている事がありますが、この状態では、飲み込みにくく飲み込む前に、喉に流れてしまう場合があるので危険です。
ギャッジアップとは、ベッドの背上げをする事です。座位が保てないなら、電動や手動で背上げができるベッドが必要になります。ベッドの角度は30度以上になるようにし、座位が保てるならできるだけ前屈みになるようにしましょう。また、食べてすぐベッドに横になるのは、危険です。30分程は座ったままの状態にしてください
3-2口に運ぶ量を加減しましょう
一口が多いと、中々飲み込めず誤嚥の元になってしまいます。また介助をする場合は、食べるスピードに合わせて口へ運びましょう。テレビなどを見ながら食べると誤嚥しやすくなるので、食事に集中できるようにしましょう。
3-3嚥下機能を上げるリハビリを行う
唇や舌、頬などを動かす運動をする事で、誤嚥を予防します。唇を尖がらせたり、舌を突き出すとか上唇や下唇につけてみる、頬を膨らますなどの運動をします。また歯ブラシを使って、口の中をマッサージするのも良いです。
3-4口の中を清潔にする
誤嚥による肺炎を予防する為にも、口の中を清潔にしておきましょう。口の中は細菌が繁殖しやすく、唾液に菌が付いたまま誤嚥すると、肺炎になってしまう恐れがあります。歯だけではなく舌も磨き、うがいができるなら行いましょう。また入れ歯があれば、外して洗浄します。