どこまで知ってる?シーラントのこと
「シーラント」って、聞いたことはあるけどよく知らない、という方は多いようです。今回は、虫歯予防対策の一つであるシーラントについてのおはなしです。
【目次】
1. シーラントとは?
2. 保険証と「医療証」があれば無料
3. シーラント処置の工程
4. シーラントの適期
5. 定期検診でシーラントの欠けをチェック
6. まとめ
1. シーラントとは?
シーラントとは、臼歯のかむ面にある深い溝や複雑な溝をプラスチック樹脂で埋める虫歯予防措置を言います。日本語では「小窩裂溝填塞(しょうかれっこうてんそく)」と呼んでいます。臼歯の溝は、かんだときにすりつぶすためにありますが、溝は思いのほか深く、歯ブラシでは汚れが掻き出せず、溝の奥に入り込んだ汚れが溜まって虫歯になることがあります。シーラントにより、溝の最深部だけを埋めつつ、大事なかみ合わせの機能は残すことができます。
2. 保険証と「医療証」があれば無料
シーラントは、保険証と「医療証」があれば無料で受けることができます。自治体により有料の場合もありますが、東京23区の場合、保険証と医療証で、検診、クリーニング、予防処置、治療も、中学生まで無料になります。
3. シーラント処置の工程
シーラントは次のように行います。
1)臼歯の横に綿を入れる
2)エアーで臼歯を乾燥させる
3)エッチング(歯の表面を粗雑にして引っ掛かりを作る)
4)水洗
5)綿を交換
6)乾燥
7)シーラント剤充填
8)光照射し乾燥
▲シーラントの道具
なお、シーラント処置ができるのは、虫歯ではない健康な歯だけです。虫歯になりかけている歯でも、できない可能性があります。
4. シーラントの適期
「白金こどものはいしゃさん」では、シーラントの対象は3歳以上を目安にしています。理由は、
1)注射器のような形の器具もあり、それらを許容できなければならない
2)薬剤は苦かったり酸っぱかったりする
3)お口の中を乾燥させる必要から一定時間お口を開けていなければならない
などによります(1歳でもできたり、5歳でも難しかったりしますが)。
永久歯の臼歯が生えたタイミングでシーラントをすれば、永久歯の虫歯対策にも有効です。永久歯は5〜7歳くらいで生えてきますが、生え変わったばかりの永久歯は「幼若永久歯」と言ってまだ虫歯に弱く、唾液の中のカルシウムを取り込んで3年くらいかけてようやく成熟します。その幼若な期間にシーラントをしておくことは有効です。さらにフッ素を塗ることをお勧めします。
・こちらもご覧ください→「うがいしすぎると効果なし! あまり知らないフッ素の話」
5. 定期検診でシーラントの欠けをチェック
虫歯を作りたくないとお考えでしたら、シーラントが有効ですが、シーラントは虫歯を完全に予防できるわけではなく、さらに、シーラントをしたから歯磨きが不要になるわけではありません。
「白金こどものはいしゃさん」では、親御さんに対し、お子様が乳児のうちにシーラントの説明をし、適齢期になるまで虫歯にならないよう指導しています。また、シーラント後、3カ月に一度の定期検診の際に薬剤が取れていないかチェックしています。
薬剤は年単位で長持ちすることもあれば、歯ぎしりなどにより数カ月で取れてしまうこともあります。取れたところに異常がなければ、再度詰め直しは可能です。
◇「白金こどものはいしゃさん」での定期検診の時間イメージ(合計30分)
1)検診:5〜10分
2)クリーニング:5〜10分
3)シーラント:残り時間
6歳臼歯8本を一気に処置しますが、お子様によって、またその日の調子によって、一度に2本程度しかできず、次回になってしまう場合もあります。
▲「白金こどものはいしゃさん」にて
6. まとめ
いかがでしたか?まだ乳児をお持ちの方、あるいは知り合いに乳児のいる方、「虫歯になる前のシーラント」ですよ!