お子様の歯磨きに悩んでいませんか? ~0歳児からの虫歯予防~
子供の歯磨きに悩んでいる親御さんは少なくありません。お子様が喜んで歯磨きをさせてくれて、それで虫歯ゼロになるならいいですよね。今回は、小児歯科の衛生士の話に基づいて、子供の歯磨きのポイントにつきご紹介します。
1. 歯磨きへの抵抗感をなくす
1-1. 姿勢
子供が嫌がるから、あるいはかわいそうだから歯磨きをやらない、という選択をされる方もいらっしゃいます。でも、それでは虫歯になってしまいますね。
1日最低1回(理想は毎食後ですが)、しっかり磨く時間を確保していただきたいと思います。
歯を磨いてあげる際は、下図のように寝かせてください。立たせているより、うまく歯ブラシが当たり、汚れがしっかり落ちます。子供の手足を親の足の下に入れてがっちりブロックすると、より磨きやすいです。
1-2. 歯ブラシを使うまでのステップ
0歳や1歳くらいだと、歯磨きの大切さを説明して理解させるのは難しいので、とにかく歯磨きが嫌にならないようにしてあげるのが大切です。
口の中に、突然、歯ブラシという“異物”を入れられると、大抵の子供は嫌がります。
それではどうしたらいいでしょう。次のステップは一例ですが、参考にしてください。
1. 歯磨きの前に、指で口の周りやほっぺを触る
2. ほっぺを触っても大丈夫になったら、口の中に指を入れる
3. 指を入れられても嫌がらなくなったら歯の汚れをガーゼで拭う
というように、少しずつコミュニケーションをとりながら、最後に歯ブラシに移行する、といった具合です。必ずしもこのステップでなくても構いませんが、いきなり歯ブラシを入れるより、子供の抵抗が小さくなります。
1-3. 来院は早い方がいい
ちゃんとした磨き方を知りたいという意識の高い親御さんが増えており、乳歯が1本2本生えてきた段階でも多くの親子が来院されます。
「白金こどものはいしゃさん」では、3歳までに初来院というお子様が7割近くに上る、というデータが出ています。0歳児には0歳児向けの磨き方がありますから、できるだけ幼いうちに歯科を訪問されることをお勧めします。
▲初診来院年齢(白金こどものはいしゃさん、2016年9月~2017年8月)
乳歯20本が生え揃うのは、早い子で2歳、ほとんどの子が2歳半から3歳くらいです。
最初に生える乳歯は下の前歯で、生後6、7か月頃から生えてきます。
▲乳歯が生える時期の目安
1-4. 「ワンタフトブラシ」もお勧め
また、歯が少ないうちは、ワンタフトというタイプの歯ブラシを使ってみてもいいでしょう。通常の歯ブラシでは毛先が入りにくい場所など、ポイントで磨きたいところに毛先が届きます。大人でも、叢生(そうせい:歯が入り組んで生えている)の方はよく使っておられます。
▲左と中央がワンタフトタイプ(「タフト」は「毛束」という意味)
1-5. 子供と一緒に楽しむ
子供をおだててその気にさせるためのツールを使うのも効果的です。例えば、お子様向け番組の歯磨きのコーナーを親子で見て、その時に流れる歯磨き歌を一緒に覚えて、実際の歯磨きの際、歌ってあげながら歯を磨いてあげると、子供自身が歯磨きの時間だと覚えることで、進んで口を開いてくれるようになります。また、歯磨きに関する教材や絵本も市販されているほか、ネットの世界でもたくさんの歯磨き動画が公開されています。キャラクターと一緒に歯を磨くものもあり、お子様がお気に入りの動画を見つけて、歯磨きの際にはいつもそれを流すというのも効果的です。是非工夫してみてください。
・こちらもご覧ください→「白金こどものはいしゃさん・特製絵本」
1-6. フロスにも慣れさせる
乳歯が生え揃うまでにフロスに慣れさせる、ということを提案します。
フロスは、初めは子供用の可愛いものがオススメですが、奥歯が生えたら奥に入りやすいY字型が便利です。
▲(左)子供用フロス、(右)Y字型フロス
2. 磨き方
2-1. 本人磨きと仕上げ磨き
歯磨きは、「本人磨き」のあと、親御さんによる「仕上げ磨き」を行います。本人が特に幼い間は完璧に磨くのが難しいので、「本人磨き」は顔を洗うのと同じような習慣化が主の狙いです。
小学校に上がる頃には、仕上げ磨きと同じレベルまで汚れを落とせるように練習をするんだよ、とお話ししています。そして、3、4年生くらいで、仕上げ磨きの卒業をめざすよう指導しています。
2-2. 磨く際のノウハウ
1. 仕上げ磨き用の歯ブラシは、ヘッドが小さくて柄が長く、ある程度コシがあるものがベターです。柔らか過ぎると汚れが取れないことがあります。
2. 仕上げ磨きの際、歯ブラシを持っていない方の手で口を広げて、歯ブラシが当たっているところを見てブラッシングするのが重要です。自分磨きの場合は鏡で確認するように子供に伝えましょう。
3. 磨き残しを避けるため、上下左右あちこち飛ばず、順番を決めて磨きます。
4. 同じ箇所を、細かいストロークで10〜20回はこすりましょう。
5. 歯ブラシの持ち方はペングリップで。力がかかりすぎるのを防げます。
▲ペングリップ
6. 歯磨き粉は、本人磨きの時はつけてもいいですが、清涼感があって磨いた気になってしまうので注意しましょう。また、仕上げ磨きの時に歯磨き粉を付けると泡が立ち過ぎてしまい、磨いている部分が目視できなくなるので注意しましょう。
7. 電動歯ブラシを使うのは好みですが、ブラシをちゃんと歯に当てられなければ使っても意味がないので、まずは普通の歯ブラシで上手に歯磨きが行えるように練習しましょう。
まとめ
0歳児の時から歯磨きの抵抗をなくし、本人磨きと仕上げ磨きを習慣化すれば、長く「虫歯ゼロ」を継続できるはずです。早いうちから正しい歯磨き方法や知識を知り、身につけていただくために、予防歯科での定期検診をお勧めしています。予防の歯医者さんですから、虫歯の早期発見・早期治療ができ、歯医者さんで痛い思いをするということが少なくなります。歯医者が怖いところだという意識が芽生えることもなく、将来にわたって歯科への抵抗が少なくなるのは大変好ましいことです。
また、虫歯になってから歯科へ通うと、治療日数も治療費もそれなりにかかります。予防型だと、3カ月に1度程度、1日だけ通えばそれで済みます。定期検診によりお子様の虫歯ゼロを継続してあげてください。
▲楽しい雰囲気作りに力を入れている小児歯科
(写真は「白金こどものはいしゃさん」)