認知症のある方の口腔ケア
「健康はお口から!」という様に口腔ケアはすべての人にとって大切なものです。しかし、認知症には理解する事が難しく、身体を触られるケアに対して抵抗を示される方がいらっしゃいんます。特に口腔ケアには強い抵抗を示す方がいらっしゃいます。今日はその様な場合のケアの方法についてご案内します。
1.認知症のある方の口腔ケア
歯磨きに対して拒否があるので、無理強いはせず見守っている。その様な方もいらっしゃるのではないかと思います。しかし、そのままにしていると虫歯や歯周病・全身疾患が悪化し、かえって本人様の負担を大きくしてしまいます。そうならない様に歯磨きを工夫していただければと思います。
1-1自分でできるが、順番ややり方がわからない場合
歯磨きができる方はそばで見守り、順番などを声掛けして下さい。ジェスチャーを交え促すのも効果的です。加齢で手の動きや目が悪くなってしまうので、就寝前には仕上げを行うことをお薦めします。
1-2毎日の日課と生活習慣として馴染ませる
毎日の日課として馴染ませる事が大切です。生活のリスムとして食後には時間や場所を決めて歯磨きをして下さい。身体は他者に触られることが少ないと非常に敏感になってしまいます。声掛けを行いながら、歯磨きを続けて不快を感じないように慣れて頂く事も大切です。
1-3その他のポイント
その他、認知症の方への口腔ケアに効果がある方法についてご紹介します。
1-3-1歯ブラシの選び方
高齢者の9割は歯周病と言われてます。ですので、やわらかめの歯ブラシを使われる事をお薦めします。歯磨きを介助する際には「痛みを伴わない」事が大前提です。
1-3-2マッサージ
抵抗が強い方は緊張も強い為、マッサージを行うことも効果的です。時間に余裕がある場合には口から遠い手からマッサージを行い、頬や口唇をマッサージしていきます。寝たきりの認知症の方には頬や口唇のマッサージが効果的です。
1-3-3手鏡で口を見て頂く
手鏡をいつも身近なところにおいて、食後に見る習慣をつけさせる事も以外に効果があります。女性の方は特にいつまでもきれいでいたいものです。鏡を見ていただき、歯磨きを促すきっかけにしてはどうでしょうか。
1-4抵抗が強い方の口腔ケア
その日の気分などによっては拒否が強くてできない場合もあると思います。その際にはせめてうがいをして頂きます。お口の中の汚れを少なくする事が大切です。毎日の歯磨きにプラスして歯科医師や歯科衛生士などの専門家に協力を依頼する事も大切です。
寝たきりで歯磨きへの理解が難しい場合には開口を補助する道具などもありますが、歯科医院へご相談され、使用方法などについても助言を受けて下さい。
2.介護の心がけ
認知症の方は混乱がしやすく不安になることがしばしばあります。焦りや反発から気持ちが不安定なことも少なくありません。本人様と介護者の間でよい関係を築きお互いに安心できる生活にできるよう心がけましょう。
2-1安心感が大切
本人様の好きな音楽をかけたり、興味を持っているものを身近に置くなど不安な気持ちを和らげましょう。一緒にお茶を飲んだり、話を聞いたりする時間を持つことで気分が落ち着き安心感が得られます。
2-2否定しない
間違ったことを言っても、大きな支障がなければ否定してはいけません。否定的な言葉や態度はご本人が不安になるばかりでなく、介護者に不信感を頂く原因になります。
2-3ペースを合わせる
介護に焦りは禁物です。せかさず、ゆっくり見守ることが大切です。
2-4できる事をできるだけ
本人様のできる事を見つけ手伝ってもらいましょう。小さなことでも役割を作り事で自信がつき安定します。
2-5介護者が心に余裕を持つことが大切です。
抱え込まずリフレッシュを心がけることはこれからの質の高い介護にもつながります。自分の時間をもつことが大切です。話を聞いてくれるなど心を許せる人を作りましょう。一人で抱え込まずに、早い段階で福祉や介護サービスを利用する事も本人様との良い関係を維持する事にもつながります。
3.まとめ
認知症の方でも口腔ケアは必要です。認知症の状態も様々ですので、その方にあった口腔ケアの方法や工夫を考える必要があります。また、お口の中の変化に気づくことも大切です。毎日、歯磨きを行うことで気づき易くなります。「気づいたら食べれなくなっていた」などにならない様に歯磨きを習慣付けて下さい。歯科との連携を図りお口を守りましょう。